エントロピーは、自然現象に対するものの見方を深める意味で非常に重要な物理の概念。本書は数式を極力用いずに、身近な具体例を使ってエントロピーをやさしく解説する。要望が多かった「なぜエントロピーが増えるのか」と「ボルツマン分布」の解説に紙幅を割いた第2版。
【第1章】エントロピーって何だろう
1 エントロピーで自然現象の本質をとらえる 「いろんな分野で使われるエントロピー」
2 本質をとらえて悟りを開くために 「3つのステップで悟りは開ける」
3 エントロピーがとらえる本質とは 「自然現象は「自然に」進んでいく」
4 ものは過去にこだわらない 「過去に関係なく、変化は進む」
5 エントロピーを一言で言うと 「人類が見い出した偉大な経験則」
6 エントロピーはなぜわからないと言われるのか 「わからないことをわかろうとしない」
7 エントロピーでものの見方を変えよう 「見えなかったものが見えてくる」
8 エントロピーがわかると何がよいのか 「エントロピーのご利益」
9 エントロピーの弱点 「速さは皆目見当もつかない」
【第2章】エントロピーを学ぶ前にこれだけは知っておこう
10 「物質は無くならない」という法則 「まず質量保存の法則」
11 エネルギーって、なかなか難しい概念 「仕事をする潜在的能力がエネルギー」
12 潜在的ってどういうこと? 「どんなエネルギーがあるのだろう」
13 熱も電気もエネルギー 「物質がもつ化学エネルギー」
14 エネルギーは形を変えてどんどん変化する 「太陽光の光エネルギーが変化する」
15 人間はエネルギーの形を変えて使いやすいようにできる 「住みよい世界へ」
16 エネルギーは無くならない 「エネルギー保存の法則」
【第3章】いざエントロピーに挑戦!
17 全体を見る、それが大切 「興味のある部分だけにとらわれない」
18 完全に元に戻れるか戻れないか、それが重要 「変化の方向性を判定しよう」
19 どこかに影響が残ってないか 「温かい周りに置いてみる」
20 やっぱり元には戻らない 「電子レンジを使ってみよう」
21 動いている物体は自然に止まる 「摩擦によって熱に換わる」
22 熱に換わってしまったらおしまい? 「元に戻らない理由」
23 熱にならなければ元に戻る 「でも必ず抵抗や摩擦は存在する」
24 エネルギーだけじゃダメなんです 「だからエントロピーが必要なんだ」
25 エネルギーには質がある 「質の良いエネルギー・質の悪いエネルギー」
26 自然の変化はエネルギーの質と関係? 「エネルギーの質の低下とエントロピーの増大」
27 エントロピーが減ってる? 「冷蔵庫はコンセントを入れないと動かない」
28 全体で質が悪くなればそれでよい 「エネルギーの質の低下による補償」
29 エネルギーの質だけじゃない 「物質は広がっていく」
30 全体のエネルギーの質が良くなってもいい? 「熱のエントロピーを物のエントロピーで補償」
31 熱のエントロピーは物質のエントロピーに換えられる 「水の沸騰は熱のエントロピーを物に変換」
32 エントロピーを変化させる要因は2つ 「物質のエントロピーも熱のエントロピーに換えられる」
33 エントロピーを考える意味 「関係の無い2つの現象を1つの概念で扱える」
34 エントロピーの変化量はこれくらい 「数値で見るエントロピー変化」
35 結局すべてはエントロピー 「悟りの第3段階へ」
【第4章】身近な現象や技術をエントロピーで見ると
36 すべての変化は自然に起こる「 人間もエントロピーの法則から逃れられない」
37 錆びる、燃える、傷む 「酸化反応はエネルギーのエントロピーが支配する」
38 「結露しては消える」の繰り返し 「反対の変化が継続して起こる」
39 結露も蒸発も全体のエントロピーは増大する 「温度が変わると変化の向きが変わる」
40 芳香剤と脱臭剤、そのエントロピーは? 「反対の作用をエントロピーで考える」
41 物が溶ける理由 「物質のエントロピーは増大する」
42 物が溶けない理由 「意外と難しい「溶ける」という現象」
43 着物のシミにご用心 「融点を下げてまでも混ざり合いたい」
44 凍結防止はエントロピーで! 「融雪剤も不凍液も」
45 ナメクジに塩をかけると縮む 「凝固点降下 ・ 沸点上昇 ・蒸気圧降下 ・ 浸透圧はすべて物質のエントロピーの性質」
46 夏の打ち水でエネルギーのエントロピーを減らそう 「物質のエントロピーで取り去れる」
47 生命活動とエントロピー 「ブドウ糖と酸素との反応を利用して活動している」
48 生命活動も太陽光エネルギー 「太陽光エネルギーは質の良いエネルギー」
【第5章】「エネルギー ・環境」問題とエントロピー
49 エネルギー問題、実はエントロピー問題! 「質の良いエネルギーが無くなる」
50 化石燃料は優秀な化学エネルギー 「現代文明は太古の太陽光エネルギーに支えられている」
51 「再生可能」エネルギーは何かヘン? 「正確には永続的利用可能エネルギー」
52 再生可能エネルギーのエントロピー 「エントロピーの増大する量は変わらない」
53 水の惑星・地球の不思議 「水がエントロピーを捨てる」
54 持続可能なエネルギーシステム 「自然のエントロピーの流れの中へ」
55 リサイクルをモデル化しよう 「基本は製品→廃棄物→製品」
56 劣化と再生のエントロピー 「どちらも全体のエントロピーは増大する」
57 リサイクルはしたけれど 「ちゃんとエントロピーは増大している」
58 意味のあるリサイクルを 「「リサイクル」の本当の意味」
【第6章】エントロピーの秘密に迫る
59 この世は「トビトビ」になっている 「エネルギーは量子化されている」
60 気体はいろんな速さで動いている 「これがマックスウェル ・ボルツマン分布だ」
61 マックスウェル・ボルツマン分布を決める2つの要因 「状態の数の分布とエネルギー分布」
62 見えてきたマックスウェル・ボルツマン分布の秘密 「エネルギーで考えるのがミソ」
63 自発的なボルツマン分布への変化がエントロピーを増やす 「ボルツマン分布はトビトビをトビトビに分配する時に現れる」
64 自然現象の変化は配分の仕方の数で決まる 「配分の仕方の数が多い方に自発的に変化する」
65 ボルツマン分布以外は事実上ゼロ 「自然現象も統計的な原理に従う」
66 エネルギーの質の低下とボルツマン分布 「高温から低温への熱の移動は配分の仕方の数が増えるから」
67 ものの存在空間の拡大とボルツマン分布 「物質が存在空間を拡大するのは配分の仕方の数が増えるから」
68 最後にやっぱりエントロピー 「身の周りの現象をエントロピーを使って考える」
【コラム】
●エントロピーを見つけたのは誰?
●エントロピーの求め方
●エントロピーが増大しない体積膨張もある
●いたるところで増えるエントロピー
●宇宙は熱的死に向かう
●熱の普遍性と特殊性
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