海外からの旅行客が口を揃えて絶賛するのが、日本のトイレの素晴らしさだ。Made in Japanのトイレは、いまも衛生面や機能面で世界の最先端をリードし続けている。だが、日本のトイレ環境が劇的に改善されたのは、たかだか35年ほどの話なのである。
では、なぜ、どのようにトイレが快適になったのか。本書では、第一線で活躍を続ける有識者37名が総力を挙げて、この問いに挑む。
一口に快適といっても、人によって感じ方は異なる。ジェンダー、障害の程度、シチュエーションなどが異なれば、トイレに求めるものも多様になる。認知症や発達障害の人たちには健常者にはわからない苦労も多いし、子連れや介助者も同様だ。そこにきれいなトイレがあっても、安心して使えなければ、外出するのも億劫になる。
高速道路が渋滞してもサービスエリアのトイレが行列にならない工夫、トイレの最適な清掃頻度の研究など、快適さを維持するための努力は各所で進められている。快適さを求めて日々進化する日本のトイレの最前線を、あますところなく紹介する。
第1章 快適さって何?
第2章 快適さへの歴史と技術の進化
1 トイレの快適化の歴史と文化
2 下水道整備と水洗トイレの普及
3 水洗トイレの発達
4 トイレの建築計画
5 トイレの設備環境
第3章 社会の変化を反映する
1 女性を取り巻く社会の変化とトイレ
2 人と社会の多様性に調和した公共トイレ
3 様々な利用者が求める快適さ
第4章 様々な場所の様々なトイレ
1 公衆トイレ
2 住宅のトイレ
3 公共交通のトイレ
4 商業施設のトイレ
5 公共施設のトイレ
6 オフィスのトイレ
7 観光地のトイレ問題
8 鉄道車両のトイレ
第5章 快適さを持続させる
1 快適さを更新させる
2 快適さを持続させる
3 持続する快適さの実現――ユーザー視点からみた戦略的経営資源としての「トイレ」
第6章 公共トイレの課題と今から
1 公共トイレの課題とみんなが幸せに感じるトイレの形
2 学ぶ場としての公共トイレ――マナーの視点
3 次世代技術による支援
みんなの快適を聞いてみた
日本で聞いたトイレの快適さ
世界で見たトイレの快適性
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