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配線とは、盤内または盤間の配線ではなく、盤一次側の幹線、または盤二次側の
負荷へ向かう分岐回路、という認識で宜しいでしょうか?
以下は、温泉の硫黄ガスなどの影響はない清浄な空間を前提とします。
1、(一社)日本電線工業会が示している資料では、耐用年数の目安は
良好な環境でも最大30年程度です。
https://www.jcma2.jp/files/gijutsu/Shiryo/107.pdf
2、「1」について、給排水衛生設備だと合成樹脂製の配管で一定条件を
満たせば、50年は破損しないと予測されている物も有る事から、おかしいと
感じるかも知れません。
http://www.shasej.org/gakkaishi/back-index0512/0510-kouza.pdf
↑PDFの7枚目辺り
しかし、電線は銅害の影響が出やすい環境に有る(銅害防止剤を
混入するなどの対策を行っているだろうとは言え)事や、合成樹脂中の
酸化防止剤を20〜30年程度で消費しきってしまう(=酸化防止剤が
無くなると、急速に合成樹脂が崩壊していく)事が往々にして有る事を
考えると、30年という数値は大きな間違いという訳でも無いでしょう。
http://www.shasej.org/gakkaishi/0601/0601_kouza.pdf
↑PDFの6枚目辺り
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mls2001/15/3/15_3_93/_pdf
↑参考としてポリプロピレンの例。PDFの3枚目辺り
3、必ず配線を30年で更新するのか?ですが、現実には更新せずに
使い続けている事も多いかと思われます。
仮に費用対効果を考慮して更新しない場合、電源供給時に異常が起きてもよい
(大きな損害にならない)なら、事故のリスクを承知で既設のままとしても
良いかも知れません。
しかし、異常が起きると損害が大きい(例:医療機関のOP、ICU系統、
工場の生産ライン、交通機関や水処理、通信、金融のインフラなど)場合は、
ケーブルの更新も計画的に行い始める事を発注者へ推奨された方が
宜しいかと思われます。
4、今回の分電盤というのが低圧引込の開閉器盤を兼ねる場合、一次側の電線を
劣化したまま放置すると、電力会社側の低圧ヒューズを溶断させて
所内全体が停電する可能性も有りますから、盤二次側は既設のままとしても、
引込だけでも更新を検討する価値は有るかと思われます。
今回は関係ありませんが、高圧の場合は波及事故の原因になりますので
放置は禁物です。
5、既設のままとする場合でも、改修前後の絶縁測定を行ってから発注者へ
結果報告を行う事と、現状では使える場合も、今後、短期間で急速に劣化して
改修の必要性が生じたり、そのままだと事故発生確率が上昇するであろう事は
リスクとして発注者へ報告すべきと考えます。
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