Page 185 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 建築設備フォーラムへ ┃ 会議室に戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼二種類の最大負荷計算法について NSP 03/5/31(土) 8:14 ┣Re:二種類の最大負荷計算法について ときおり雨 03/5/31(土) 11:17 ┃ ┗Re:二種類の最大負荷計算法について NSP 03/5/31(土) 14:42 ┃ ┗Re:二種類の最大負荷計算法について ときおり雨 03/5/31(土) 16:10 ┃ ┗Re:二種類の最大負荷計算法について NSP 03/5/31(土) 17:23 ┃ ┗Re:二種類の最大負荷計算法について ときおり雨 03/5/31(土) 18:02 ┃ ┗Re:二種類の最大負荷計算法について masa 03/5/31(土) 18:54 ┃ ┣Re:二種類の最大負荷計算法について NSP 03/6/2(月) 14:29 ┃ ┗Re:二種類の最大負荷計算法について ときおり雨 03/6/2(月) 16:34 ┃ ┗Re:二種類の最大負荷計算法について NSP 03/6/7(土) 10:10 ┃ ┗Re:二種類の最大負荷計算法について ときおり雨 03/6/8(日) 14:49 ┃ ┗Re:二種類の最大負荷計算法について YAMATO 03/6/11(水) 9:27 ┣Re:二種類の最大負荷計算法について ときおり雨 03/5/31(土) 19:43 ┣Re:二種類の最大負荷計算法について ときおり雨 03/5/31(土) 21:59 ┗Re:二種類の最大負荷計算法について NSP 03/6/10(火) 8:39 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 二種類の最大負荷計算法について ■名前 : NSP ■日付 : 03/5/31(土) 8:14 ■Web : http://www.dmn.ne.jp/nsp/ -------------------------------------------------------------------------
空気調和・衛生工学会では、次の2種類の「最大負荷計算法」を発表している。 その1は、空調設備基準委員会負荷計算法分科会による「手計算による最大負荷計算法」であり、 その2は、空調設備委員会熱負荷算法小委員会による「設計用最大熱負荷計算法」である。 学会では、何故、この様に2種類もの「最大負荷計算法」を発表しているのか不明ですが、次に、この両計算法の特徴を明確にして、その採否選択の際の参考に供します。 http://www.dmn.ne.jp/nsp/hikaku-2.htm |
> 学会では、何故、この様に2種類もの「最大負荷計算法」を発表しているのか不明ですが、 不明ではないと思いますよ。学会の「設計用最大熱負荷計算法」の本なかに、背景が記述されていたと思います。 また、「設計用最大熱負荷計算法」は、昭和57年から平成元年に編集されています。 対する計算法は、昭和47年3月の学会誌に掲載されたものです。 両方の編集委員や指導・助言されたの顔ぶれをみるかぎり、 時代の要望に応えて、継承・発展したものと思います。 昭和47年の委員会主な方(敬称略) 第2小委員長 井上宇市 小委員会委員等 斉藤平蔵、松尾陽、木村健一、千葉孝雄、高田倶之 負荷計算分科会 松尾陽、木村健一、石野久弥、横山浩一、滝沢博 掲載分執筆 松尾陽 平成元年のときの、小委員会に対して指導・助言・協力した方は(敬称略) つぎのとおりです 井上宇市、木村健一、中原信生、松尾陽、千葉孝雄、横山浩一、高田倶之、滝沢博、他 |
平成元年に発表された「設計用最大熱負荷計算法」は、その「序文」にも記述している様に、定常計算の手法であり、また、その本文中「1.概要,1.1背景(P.1〜P.2)」に記述している様に、 「設計の初期の段階に、略算でよいから手早く結果を得るため・・・」に開発された計算法であり、 更に、同文中に 「より忠実に、手計算で最大負荷計算を行うには、例えば、//手計算による最大負荷計算法(当学会空調設備基準委員会,当学会誌第46巻第3号)//を用いて非定常計算を行うこともできる。この中では間欠運転による蓄熱負荷や、日射や照明器具等からの輻射熱成分に起因した室内放熱流の遅れなども考慮してあり、“動的熱負荷計算法”と同じ計算原理に立脚している。・・・」 と記述している。 つまり、「設計用最大熱負荷計算法」は、簡便・略算法である。 |
確かに、簡便・略算法ですが、本文中のことばでいえば「設計の初期段階で略算でよいから手早く、しかし、なるべく精度の高い方法が最大(設計用)熱負荷計算法には要求される・・・・略算でよいから、手早く・・・等々」と、悩んだすえに、同書のなかの背景のむすび文にあるように、 「以下に、本委員会で、より合理的であると判断し、整備してきた設計用熱負荷計算法を記すので、十分に参考にしていただきたい。 本計算法は、設計用であるから簡易さを旨とし、定常計算と同様の手順で計算を進行すればよいように構成されている。煩雑な非定常伝熱過程はすべてまえもって計算してあるので、補正係数として表あるいは図を読みとればよい・・・・・」 となり、この学会編集図書が世の中にでたんですね。 省エネ、省資源、再利用が、設計思想に大きな比重を占めつつある現在、機器容量の最適決定(実務的には、ミニマムデザインか?)は、これら省付き課題に直結した重要な問題であり、その解決ツールの選択は、永遠のテーマなのかも・・・・ 回路網的定常・非定常解析から、温熱シミレーション等の立体的な見える解析に慣れてきたこの頃にあっても、u当たり、坪当たりの数値が、最終判断なのも現実!・・・・ですよね・・・ |
> >「本計算法は、設計用であるから簡易さを旨とし、定常計算と同様の手順で計算を進行すればよいように構成されている。煩雑な非定常伝熱過程はすべてまえもって計算してあるので、補正係数として表あるいは図を読みとればよい・・・・・」 > とは、多分に、希望的観測であって、実際の計算結果は、特に、間欠運転の建物にあっては、その差が著しい。 「煩雑な非定常伝熱過程はすべてまえもって計算してある」と言っても、運転時間帯の長短によっては、間欠運転時の蓄熱負荷の影響は異なった数値を示してくる。 間欠運転時の蓄熱負荷は、非定常計算に依らねば正しい結果を得る事は出来ない。 「手計算による最大負荷計算法」では、明確な根拠をもつて、それを算出する事が出来るが、「設計用最大熱負荷計算法」では、根拠不明な「地区蓄熱係数」等を用いてそれを算出する事としているが、運転休止時間の長短や、設定温度条件に対する応用性に欠陥がある。 今日では、冷暖房負荷計算を手計算にて行う人は極めて稀れであり、わざわざ、高性能のパソコンを用いて、グレイドの低い、定常計算を行うことの必然性・意義について、一考を要するところです。 >回路網的定常・非定常解析から、温熱シミレーション等の立体的な見える解析に慣れてきたこの頃にあっても、u当たり、坪当たりの数値が、最終判断なのも現実!・・・・ですよね・・・ 何のために、負荷計算するのですか? |
>何のために、負荷計算するのですか? これと同じことばで「何のために、見積もりするの・・」といわれたことを、思い出しました・・・・・そう、見積もりの世界も、m2と坪の世界でしたよね・・・ 設計に対する、さまざまな考え方があると思います。 理論主義もひとつ、比較設計主義、実証主義等々、さまざまなひとたちの考え方・ 手法が、ぶつかりあい、技術の進歩、発展があるのでしょうね・・・ |
実用上問題無いということで、簡略化したのでしょうから、あとは設計者の判断では無いでしょうか?(設計者が必要だと思えば動的負荷計算を行ってもかまわないわけですから) 実は空気調和・衛生工学会ではさらに簡略化した冷暖房熱負荷簡易計算法(HASS-112-2000)もあります。(こちらはu当たりの熱負荷のモデルケースを補正して使用するものです) 事実上「設計用最大熱負荷計算法」で算出した空調負荷から、安全率を掛けて空調機器を選定して、それほどクレームが無いなら問題無いわけですから。(クレームが出ない理由としては、もともと安全率が大きく選定機器で充分予冷・予熱運転に対応できているという場合もあるかもしれません) |
実用上問題が有るか無いかは、計算した結果を比較してみなければ判らない。 “手計算による最大負荷計算法”と“設計用最大熱負荷計算法”を、同一の例題にて比較した処、著しい差異のあることが判明した。 “設計用最大熱負荷計算法”のP.50〜P.53に掲載されている例題について、“手計算による最大負荷計算法”によって計算した結果は、下記の通りである。 夏季冷房負荷の計算結果(最大値) ゾーン 事務室:N 事務室:E 事務室:S 事務室:I 設計用最大熱負荷計算法 2973 9648 3616 4713 手計算による最大負荷計算法 3524 12298 4151 5614 冬季暖房負荷の計算結果(最大値) ゾーン 事務室:N 事務室:E 事務室:S 事務室:I 設計用最大熱負荷計算法 3584 5873 2851 3022 手計算による最大負荷計算法 6014 8803 4804 2012 以上の通り、その差異は平均値で夏季に於いては22%、冬季に於いては42%もあり、冬季の差異の最大値は、58.5%に及ぶ。 その最大の原因は、間欠運転に於ける蓄熱負荷の計算法にあると思われるが、略算法とは言え、“設計用最大熱負荷計算法”の蓄熱負荷計算法に合理的根拠が求められる処である。 間欠運転による蓄熱負荷は、室内外温度条件、室内外壁の熱的条件、並びに装置の運転時間による影響が特に大きいので、これらの諸条件に対応出来る計算法が必要なのである。 “手計算による最大負荷計算法”は、これに対応するに充分な機能を持っている。 |
主題の二種類の最大負荷計算法のうち、30年以上前に発表になった「手計算・・・」の方についての雑誌を見つけたので、補足を書いてみました。他方は、現在も学会出版図書なので資料入手は容易と思います。また、両方の基礎となる動的熱負荷計算の出版物も現存していると思います。 この雑誌を読むと、新・旧技術の転換時期(算法、資料、電算化等)にあった、当時の、先輩たちの技術者教育への情熱を感じました。また、業界の歴史をふりかえるのも、楽しいものだなと思いました。 昭和47年3月(1972.3)の学会誌によれば、「電算機による動的空調負荷計算法」と同時に、掲載された、「手計算による最大熱負荷計算法」がつくられた経緯が述べれています。 もともと、手計算法は、同時掲載の電算用とおなじく動的計算法の思想を基礎にしているが、これを手計算レベルまで簡易化する手法として公表されたもののようです。 また、手計算について、当時の委員会は、つぎの見解をのべています。 「手計算を今日においても有意義とする見解については、委員会内部でもさまざまな理由がのべられた。たとえば、電算機を自由に駆使できる機会と能力を有する設計者はまだ限られていること、設計のごく初期の段階では、略算でもよいから手早く数値をはじき出す必要があり、その目的には手計算の方がすぐれていること、電算機によって計算の内容がブラックボックス化されることにより、技術者の常識の欠如、空調技術の退歩を招くおそれのあることをなどである。これらの点を総合的に考慮して、委員会としては電算用の算法の開発と平行して、手計算法の整備統一をも進めるべきであるという見解に達した。」 以降、略。 |
空気調和・衛生工学会は、昭和55年5月に、「非住宅建物の省エネルギ設計技術指針」を発表したが、その中で、//装置容量算定のための冷暖房負荷計算//に於て、//冷暖房負荷の算定は、手計算の場合は例えば「空気調和・衛生工学便覧(改訂第9版)第2巻空気調和編2.5室内負荷」、「手計算による最大負荷計算法(学会誌第46巻第3号)」等の計算法、または同程度以上の精度を有する計算法によるべき・・・・・//とし、//また、電算機による場合は、空気調和・衛生工学会開発の「動的熱負荷計算プログラム(HASP/ACLD/7301)、または同程度以上の精度を有するプログラムを用いるべき・・・・。但し、HASP/ACLD/7301を用いる場合は、気象データは平均年気象データそのものではなく、装置設計用の外界条件を作成して使用すべきである。この場合、上記の「手計算による最大負荷計算法」とほぼ同じ計算結果となる。・・・・・//としている。 ここで、「定常計算」と「非定常計算」の相違について言及すると、一般的に、24時間運転の建物の空調負荷については、「定常計算」による計算結果と、「非定常計算」による計算結果は、ほぼ、同等と考えられるが、間欠運転の建物の空調負荷については、その計算結果は大いに異なる。その原因は、蓄熱負荷の算定に於いて発生する。間欠運転の際に発生する蓄熱負荷については、装置運転時間、室内外温度条件、構造体の熱特性等が重要な因子となるが、この計算を、「定常計算」による計算結果から一定の付加係数により求めることは困難であり、「非定常計算」による吸熱応答によって算出する以外に、精度よい計算方法はないと云える。尚、間欠運転の際の蓄熱負荷は、冷房期よりも、暖房期にその影響が大きくなる。その理由は、非空調時間帯に於ける外界条件の差に求められる。 「設計用最大熱負荷計算法」は、平成元年に発表されたが、「動的熱負荷計算法」との関わりは殆んどなく、旧来の井上宇一氏の手法(空気調和ハンドブック)と何等変わる処がない計算法であり、計算法としては、進歩ではなく、退歩しているかに見える。 |
NSPさんの、「手計算・・・」に対する信奉は、この掲示板の中で、 よく伝わってきましたよ。 昔日、近似単層の計算や、緑本の数値を参考に負荷計算もしていた記憶がありま す。少し、基本にかえる必要があるのかも・・・・ ただ、現状の建築設備設計では、いくつかのメーカー負荷計算PRGとhasp系 PRGの寡占状態ですね。その上、PAL,CECと同じで、つい面倒で、外に出 してしまい、自分でやらないのが当たり前状態になっています。 「鮒にはじまり、・・・におわる」というように、「熱負荷計算にはじま り・・・」といえるかもしれませんね。 |
> >昔日、近似単層の計算や、緑本の数値を参考に負荷計算もしていた記憶がありま > >す。 「緑本」とは、どの様な本ですか? |
いまはやりの、躯体蓄熱方式では、 躯体蓄熱容量の推定が、結構、設計上のボトルネックに なっています。 結果的に、他方式との組み合わせで、カバーできますが、 気持ちでは、ちゃんと推定できれば、という思いはあるんですがね・・・・ |
わたしは、熱負荷計算の重要性は、今も昔も変わりないと思います。 例えば、百貨店という用途ひとつとっても、その最適容量の決定には、 地道な関係者の努力うえできまっているのだと思っています。 比較設計的な考え方でいえば、同程度の建築物について、 土日・平日、歳末・中元等々の、人の出入り情報の収集したり、 一過性お客と常駐従業員のどちらに、力点をおくべきかなど・・・、 負荷密度の決定には、多くの経験値と、その情報をいかせる理論の 両輪がうまくかみあう必要があるのでしょう。 応答波や危険率(超過度数率?)等の考えかたも、先人たちが悩んだ末に、 わたしたちに、伝えてくれたものなんでしょうね・・・ 応答波の考えたなどは、蓄熱水層の解析で聞いた程度で、 負荷計算で、使われていると知っていても、PCまかせという状態ですね ここで、いま一度、歴史をふりかえるのも、技術向上のためには、 わるくないことかもしれませんね。 |
「文部省の機械設備工事設計基準による冷暖房負荷の算定法(以下「設計基準」という。)」は、非定常計算の手法を用いた、信頼性の高い「手計算による最大負荷計算法(空気調和・衛生工学会の空調設備基準委員会第2小委員会負荷計算法分科会発表)」をもとに構築されている。 http://www.dmn.ne.jp/nsp/monbu.htm |
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