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 ▼飽和水蒸気の圧損  おおつ 03/10/11(土) 0:24
   ┗Re:飽和水蒸気の圧損  どらちゃん 03/10/11(土) 18:13
      ┗Re:飽和水蒸気の圧損  おおつ 03/10/11(土) 23:49
         ┗Re:飽和水蒸気の圧損  どらちゃん 03/10/13(月) 1:34
            ┗Re:飽和水蒸気の圧損  おおつ 03/10/13(月) 5:35
               ┗Re:飽和水蒸気の圧損  どらちゃん 03/10/13(月) 9:56
                  ┗Re:飽和水蒸気の圧損  おおつ 03/10/13(月) 10:47
                     ┣参考資料として  六馬身 03/10/13(月) 12:04
                     ┃  ┗お礼、遅くなりました(トピズレ失礼します...  どらちゃん 03/10/14(火) 9:33
                     ┣Re:飽和水蒸気の圧損  どらちゃん 03/10/13(月) 15:42
                     ┗Re:飽和水蒸気の圧損  六馬身 03/10/13(月) 18:54

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 ■題名 : 飽和水蒸気の圧損
 ■名前 : おおつ
 ■日付 : 03/10/11(土) 0:24
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   初めて投稿いたします

飽和水蒸気の断熱配管での圧損計算の方法(考え方)を
教えていただけないでしょうか

圧損で蒸気が膨張するために凝縮しないんでしょうか
断熱膨張で冷えて、凝縮すると考えていいんでしょうか
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:飽和水蒸気の圧損  ■名前 : どらちゃん  ■日付 : 03/10/11(土) 18:13  -------------------------------------------------------------------------
   一般的な蒸気配管系では、圧力損失というよりも熱損失による影響で凝縮水が発生するのですが、断熱膨張というキーワードがあります。これにこだわれば、その場合、等エンタルピー線上の圧力降下(等エンタルピー変化)となります。
お手元にP-h線図もしくはh-s線図(P-h線図の方が判り易いかも…フロン系冷媒のものを代用でも可)があれば、ご覧頂くとお解かりいただけると思いますが、断熱膨張、すなわち等エンタルピー線上での圧力降下の場合、乾燥飽和蒸気は過熱蒸気へと変化するので、凝縮水は発生しません。
凝縮水が発生するのは、熱損失により比エンタルピーが減少し乾燥飽和蒸気から湿り蒸気に変化する場合です。
冷えるから凝縮するのではなく、内部から外部へエネルギーを放出(≒熱損失)し、エンタルピーを失うから凝縮するというところに注目して下さい。

さて、本題の抵抗計算の考え方ですが、一般的には熱損失による凝縮の考慮はしません。
管路にて凝縮する蒸気は、ほんの数パーセントにしか過ぎず、抵抗計算の際には無視しても構わない程度だと思います。
逆に言えば、抵抗計算に影響を与えるほど多くの凝縮水を発生するような蒸気送り配管はNGでしょう。

ただし、圧力降下による密度や流速の変化は、その程度によっては考慮が必要です。
とは言え、局部抵抗毎や直管数m毎で流れ状態を変えて計算してもキリがないですし、本気でやるならコンピュータの解析プログラムを使いシミュレーションするしかないと思いますので、圧損が初期圧の20%程度までなら、特に密度や流速も変えずに計算して良いのではないかと思います。(この辺、人により若干意見が分かれるかもしれません)
大体、空調給排水の配管抵抗計算で用いられる局部抵抗係数や直管相当長などの数値自体が、厳密な計算に耐えうる精度のものではありません。

圧力損失の計算は、水などと同じくダルシー・ワイスバッハの式を基に求めます。
蒸気のような圧縮性流体の場合、その(圧力)変化が大きいときに密度や流速の補正を考慮すれば良いと思います。
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:飽和水蒸気の圧損  ■名前 : おおつ  ■日付 : 03/10/11(土) 23:49  -------------------------------------------------------------------------
   >お手元にP-h線図もしくはh-s線図(P-h線図の方が判り易いかも…フロン系冷媒のものを代用でも可)があれば、ご覧頂くとお解かりいただけると思いますが、断熱膨張、すなわち等エンタルピー線上での圧力降下の場合、乾燥飽和蒸気は過熱蒸気へと変化するので、凝縮水は発生しません。

フィードガス条件である乾き飽和ガスの点から真下に下げると湿り蒸気に成りそうですが、、、、
すみません、線図が手元にないんで、恐縮ですが。
等エンタルピーでしょうか。断熱膨張と考えると等エントロピーの気がしますが。


>冷えるから凝縮するのではなく、内部から外部へエネルギーを放出(≒熱損失)し、エンタルピーを失うから凝縮するというところに注目して下さい。

断熱材の若干の放熱分のことですね

>圧力損失の計算は、水などと同じくダルシー・ワイスバッハの式を基に求めます。
>蒸気のような圧縮性流体の場合、その(圧力)変化が大きいときに密度や流速の補正を考慮すれば良いと思います。

この辺は、よく分かりました。業務でも経験しております。
圧損が10%降下する毎に、分割して計算してます

どうもありがとうございました
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:飽和水蒸気の圧損  ■名前 : どらちゃん  ■日付 : 03/10/13(月) 1:34  -------------------------------------------------------------------------
   >フィードガス条件である乾き飽和ガスの点から真下に下げると湿り蒸気に成りそうですが、、、、
>すみません、線図が手元にないんで、恐縮ですが。

確かに、およそ5MPa以上の高圧の乾燥飽和蒸気は、圧力が下がると湿り蒸気になりますが、それ以下(と考えました)では、等エンタルピーでの降圧変化は過熱蒸気となります。

>等エンタルピーでしょうか。断熱膨張と考えると等エントロピーの気がしますが。

等エントロピー変化は、断熱圧縮の時に代表される可逆変化の場合です。
エントロピーとは不可逆変化が可逆変化と比べてどの程度違うかを数値化したものであり、不可逆変化であればエントロピーの量的変位は常に正の値(エントロピー増)になりますし、可逆変化ですと変位量は0(等エントロピー)となります。
圧力は自然界において熱と同様に常に高から低へと移動します。このような変化を不可逆変化といいます。不可逆変化は必ずエントロピーの増加を伴います。
膨張,蒸発の行程は全て不可逆変化です。

等エンタルピー変化についてですが、

 H = E + PV

 H:系のエンタルピー
 E:系の内部エネルギー
 P:系の圧力
 V:系の体積

この式が示すように、エンタルピーとは内部エネルギーと、圧力*体積(膨張仕事)の和であり、外部に対して仕事(熱移動ほか)がないと考えた場合、エネルギーは保存され、エンタルピーは変化しないとすることができます。
実は、今回のお話の蒸気送り配管系(フィードガス系)では、断熱膨張と捉えるのには少々ムリがあったのですが、膨張弁などが典型的な断熱膨張変化です。
モリエル線図上で圧縮機の冷凍サイクルをご覧頂くのが、最も手っ取り早いのですが、孤立した系での断熱膨張においては、外部とのエネルギーの出入りがなく、外部に対して膨張仕事もないと考えますので、エネルギーと膨張仕事の総和=エンタルピーは変化しません。前述しましたが、不可逆変化のためエントロピーは増加します。

もう少し、上手く説明できればよいのですが…。
限界です。 すいません。
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:飽和水蒸気の圧損  ■名前 : おおつ  ■日付 : 03/10/13(月) 5:35  -------------------------------------------------------------------------
   ありがとうございました。理解に大変助かりました。
以下のように理解できました

一般に気体が圧損により圧力降下(膨張)しても断熱配管の場合は
等エンタルピー変化に近いと見なせる。
モリエ線図上で以下のように、この変化は確認する事ができる
・フィードの温度、圧力ポイントを確認する
・圧損後の圧力を計算する。
・等エンタルピー線に沿って計算した圧力まで下げたときのポイントが
出口の気体の状態である
・この手法により乾き飽和蒸気が、断熱配管圧損により
 過熱蒸気になるか,湿り蒸気になるか、温度は何度になるかを判定できる。
 ということですね。(通常の領域では過熱側に移動する。)

説明が苦しいですが、、、、
かなり高度な議論ができた思います。
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:飽和水蒸気の圧損  ■名前 : どらちゃん  ■日付 : 03/10/13(月) 9:56  -------------------------------------------------------------------------
   >一般に気体が圧損により圧力降下(膨張)しても断熱配管の場合は
>等エンタルピー変化に近いと見なせる。

減圧弁や膨張弁のような急激な圧力降下は断熱膨張と見なして問題ないと思いますが、一般の配管摩擦抵抗による圧力損失は、摩擦により圧力・運動エネルギーが熱に変化し損失(外部へ放出)すると考えた方が良いと思います。
今回のキーワードである【断熱】ですが、理論的に用いる断熱と施工の断熱とは若干の格差があります。(お分かりだとは思います)
摩擦抵抗による圧力損失を理論的な断熱膨張と同等に扱う為には、摩擦による熱・振動エネルギーが内部ガスに還元される必要がありますが、実際は、いくら施工上の断熱をしているとは言え、この還元のスピードよりも外部への放熱のスピードの方が大きいものと思われます。
故に、どちらかというとエンタルピー減少の影響が強く働き、配管の摩擦損失による圧力変化のレベルでは、乾燥飽和蒸気は湿り蒸気になり凝縮水が発生するものと考えた方が良いと思います。(要は圧力変化のスピードと放熱のスピードのバランスということになりますが…)

ただし、一般的なフィードガス系抵抗計算において、この凝縮水の影響は無視できるものと考えます。
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:飽和水蒸気の圧損  ■名前 : おおつ  ■日付 : 03/10/13(月) 10:47  -------------------------------------------------------------------------
   >故に、どちらかというとエンタルピー減少の影響が強く働き、配管の摩擦損失による圧力変化のレベルでは、乾燥飽和蒸気は湿り蒸気になり凝縮水が発生するものと考えた方が良いと思います。(要は圧力変化のスピードと放熱のスピードのバランスということになりますが…)


極論言えば完全断熱なら等エンタルピー、放熱速度無限大ならば
等温(=外界温度)となるということですね。

ゆえ、現実はモリエ線図で説明すると、等エンタルピー(真下方向)と
等温方向(右下?方向)のあいだに進んでいくんでしょうね。
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 参考資料として  ■名前 : 六馬身  ■日付 : 03/10/13(月) 12:04  -------------------------------------------------------------------------
   水や蒸気配管系の計算において
機械学会の蒸気表や各種線図の他に
実在の水・蒸気(純水)について、より精度を求めたい場合は
 (空調関係ではほとんど必要ありませんが)
 最新の実用状態式(1997年)が公開されています。
  国際水・蒸気性質会議(委員会) 第1回 1967年〜
  The International Association for the Properties
    of Water and Steam (IAPWS)
 http://www.iapws.org/ IAPWS Releases and Guidelines
 他に色々なことが掲載されています。

飽和蒸気圧を表す式としては
 クラジウス−クラペイロンの式がある。 この式は
  @理想気体の法則、蒸発潜熱が温度で変化しない
  A液体の容積は、気体の容積に比較して無視できる
  と言う仮定によって得られた式。
 実用式としては
  Goff-Gratch(1946)
  Magnus Teten (Murray, 1967)
  Bolton (Bolton, 1980)
 ○Hyland and Wexler (Hyland and Wexler, 1983)
    (-100℃〜200℃) 
    機械工学会・空調衛生工学会・ASHRAEの式
    これは当然便覧にも載っています。
  Smithsonian Meteorological Table(1984)
 ○Sonntag(Sonntag, 1994) 世界気象機関にて採用
    Hyland and Wexler式と同等
    有効数字6桁で三重点(0.01℃)や沸点(99.974℃⇒101.325kPa)
    両式ともエクセルでも充分計算可能。
  Buck(Buck, A. L.1996) 等がある。
 100℃以上〜臨界 国際水・蒸気性質協会で採用されている
 ○ワグナー=プルス( Wagner−Pruss )の式もある。
 化学工学では、アントワン(Antoine)の式がよく登場します。
 各式については、根気よく検索するとでてきます。

これらの式から、湿り空気線図の計算も可能です。
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : お礼、遅くなりました(トピズレ失礼します...  ■名前 : どらちゃん  ■日付 : 03/10/14(火) 9:33  -------------------------------------------------------------------------
   六馬身様、いつも鋭く奥深いご発言、感銘を受けております。
私、諸事由から久しくココを訪れておりませんでしたが、以前、配管外表面から冷却の件でお世話になりました者でございます。

その後、六馬身様がご提案下さった半割パイン状熱交を実施いたしまして、設計計算上、凾煤≠V℃でしたが、凾煤≠T℃という実績を残すことができました。
この熱交換効率経験値は、今後の計画にも大きく役立つものと思います。

この場をお借りして大変恐縮ですが、(レスできない過去ログなもので・・・)その節は貴重なアイデアをいただきまして、本当にありがとうございました。
今後とも宜しくお願いいたします。
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:飽和水蒸気の圧損  ■名前 : どらちゃん  ■日付 : 03/10/13(月) 15:42  -------------------------------------------------------------------------
   >極論言えば完全断熱なら等エンタルピー、放熱速度無限大ならば
>等温(=外界温度)となるということですね。

ん…
乾燥飽和蒸気をスタートとすれば、まずは圧力変化を考えないと、放熱(エンタルピー放出)変化はP-h線図では、飽和液になるまでは理論上水平方向(左向き)の等圧・等温・減エンタルピー変化となります。(圧縮機の凝縮過程が良い例です)

>ゆえ、現実はモリエ線図で説明すると、等エンタルピー(真下方向)と
>等温方向(右下?方向)のあいだに進んでいくんでしょうね。

実際はエンタルピー放出と圧力低下の複合変化ですので、等エンタルピー(真下方向)と、等圧(左向き水平方向)の間に進んでいくのだろうと思われます。(P-h線図上の話ですが)
P-h線図上の右方向の勾配となる為には、エンタルピーが増加する必要があります。
過熱蒸気が乾燥飽和蒸気になるまでは、エンタルピーの放出=温度低下、乾燥飽和蒸気が飽和液になるまでは、エンタルピーの放出=凝縮水への変化、飽和液のエンタルピーの放出=温度低下となります。
この減エンタルピー変化に断熱膨張(等エンタルピー変化)が加わった変化となるのでしょう。
故に、左下方向への移動という事になります。
 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:飽和水蒸気の圧損  ■名前 : 六馬身  ■日付 : 03/10/13(月) 18:54  -------------------------------------------------------------------------
   ボイラー缶体内の圧力制御範囲においては
この減圧(⇒過熱蒸気)⇒加熱(圧力上昇と共に蒸発による密度大⇒飽和)が
形成されていると思います。
蒸気問題を考える場合には、P-h線図ではなくh-P線図で
考えたほうが理解しやすいかも知れません。(縦・横軸反転)
この場合も蒸気送気状態(減圧)で左下側の動きがあります。
なお、等温線は左上がりです。
更に、このグラフを旧単位でみると、飽和水側では
比エンタルピー≒1(水の比熱)となり
温度と比エンタルピーが概ね同一と考えてもさしつかえありません。
そうなれば、再蒸発による低圧蒸気の計算にも使える比エンタルピーの量も
見えてきます。
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