Page    3468
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   建築設備フォーラムへ  ┃  会議室に戻る  ┃  INDEX  ┃  ≪前へ  │  次へ≫   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ▼配管の許容応力計算。配管の温度設計を忘れていませんか?  TMT有馬 18/12/17(月) 1:11

 ───────────────────────────────────────
 ■題名 : 配管の許容応力計算。配管の温度設計を忘れていませんか?
 ■名前 : TMT有馬
 ■日付 : 18/12/17(月) 1:11
 -------------------------------------------------------------------------
   会議室 No.19258 「配管が毎日持ち上がるのは設計・施工ミス?」でお世話になったTMT有馬です。

業者の設計・施工が悪かったのを数値で出せたらと、勉強してみました。
計算結果は「可とう性がないので、気温が35℃で配管全体の許容引張応力を超えてしまう。」(すぐに壊れるわけでは無い)となりました。

参考:配管が熱伸縮により持ち上がり破断(↓URLはyoutubeのリンクです)
https://youtu.be/c8KXYgVa2xQ


下記の計算等は合っていますでしょうか?


許容引張応力:強度上の安全を確保するため許せる最大の応力。
  「引張り強さ」及び「降伏点」を安全係数で割り、最小値を使用する。
    許容引張応力=引張強さの1/4
    許容引張応力=降伏点の1/1.6

    安全係数=安全率
    降伏点=耐力=材料の塑性ひずみを生じ始める応力
    1N/mm2=1MPa=10.2kgf/cm2


  SGP(配管用炭素鋼鋼管)・・・引張強さ290N/mm2、降伏点(推測値)170N/? ※新日鉄住金の資料
    許容引張応力=引張強さの1/4
          =290/4
          =72.5   ※継手が無ければこの値

    許容引張応力=降伏点の1/1.6                    
          =170/1.6 
          =106.25


ねじ込み継手の強度は原管0.6倍程度になると仮定されている。 ※継手効率
  ねじ込み継手の引張強さ=290✕0.6=174
  ねじ込み継手を含めた許容引張応力=174/4=43.5
  配管全体では許容引張応力43.5N/mm2となる。


新日鉄住金HP http://www.nssmc.com/product/pipe/service/22.html                
管にかかる負荷(熱応力)の計算
    σ=α(t2−t1) x E
      σ:熱応力 (kgf/mm2)
      t2−t1:温度差(℃)
      E:縦弾性係数(kg/mm2)
      線膨張係数αは、SGP:炭素鋼 11.6 x 10の-6乗
      縦弾性係数(ヤング率)Eは、SGP:炭素鋼 20℃で1.96x10の4乗

  温度差      10  20  30  40  50  60  70  80  
  kgf/mm2     2.27 4.5 6.8  9.0 11.3 13.6 15.9 18.1
  N/?        22  44  66  89  111 133  155 178


熱膨張係数と熱膨張量
  ΔL = α(t2−t1) x L  配管の長さ89m
    ΔL:熱膨張量(mm)
    L:膨張前の長さ(mm)
    α:線膨張係数
    t1 :変化前の温度(℃)
    t2 :変化後の温度(℃)

  温度差    0  10  20  30  40  50  60  70  80  
  伸縮mm    0  10  20  30  41  51  61  72  82


外気温8℃の時に破断しており、継手と管が離れているのを確認。
外気温14℃で管が持ち上がり始めるのを確認。 ※ボウイング現象
  気温差20℃の34℃で管にかかる負荷は44.6N/mm2になり管全体の許容引張応力を超えることになる。


ANSI/ASMEの簡易判定法でも計算してみました
  ステンレス協会の建築用ステンレス配管マニュアル
    設計編 > 2.7.2 伸縮の対策法 > (1) 配管の可とう性による伸縮の対策法 
      伸縮量を配管の可とう性で吸収できるとする経験式である。
      ただし,(a)〜(c)の 制約下で用いてもよい式である。
        (a) 分岐のない配管
        (b) 全長にわたり,管径・肉厚・材質・温度などの変化がない配管
        (c) 固定点は両端の 2 点

    DY/[(L−U)2乗]≦205                    
      D:管呼び径(mm) ※@  20A      
      L:配管延長(m)      89m      
      U:固定点間の距離(m)   88.97m      
      Y:吸収すべき全伸縮量(m  30℃で31mm      
        ※@:配管接合方法により、Dを継手効率ηsで割る。
        ねじ込み継手の強度は原管0.6倍程度になると仮定されている。 ※継手効率

  DY/[(L−U)2乗]≦205
  =33✕31/[(89−88.97)2乗]
  =1033/[0.0009]
  =1147777

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    建築設備フォーラムへ  ┃  会議室に戻る  ┃  INDEX  ┃  ≪前へ  │  次へ≫    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                                                Page 3468





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━